[要点整理] ・売掛金や受取手形の中に不良債権がないかに注意しましょう。 ・商品や製品の中に滞留在庫になっているものがないか注意しましょう。 ・株やなどの有価証券に多額の含み損がないか注意しましょう。
売掛金と受取手形について
通常は、売掛金や受取手形というのは営業循環サイクルのなかで現金として回収されていくので問題ありません。
しかしながら、これらの中には、取引先の倒産やその他の諸事情により回収が滞っているものが含まれている場合がしばしばあります。いわゆる「不良債権」ですね。
企業の運転資金のバランスを見るときには「当座資産」と「流動負債」を見るとよいと別のトピックで述べましたが、この「当座資産」の中に回収が滞っている不良債権が含まれていると、たとえバランスが取れているように見えても、資金繰りがうまくいかないといったことになりますので、注意が必要です。
商品や製品について
商品や製品も通常であれば、正常な営業循環サイクルの中で販売され、それが売掛金や受取手形などになり、やがて現金で回収されるはずです。
しかしながら、こうした商品や製品の中に、流行遅れや陳腐化によって通常どおり販売することができないものが含まれている場合には注意が必要です。これらは今後ずっと倉庫の中で眠ることになり、再び販売されることはない「滞留在庫」の可能性があります。
これらを流動性があるものとしてたな卸資産の中に含めてしまうと、貸借対照表を読む上で誤った判断をしてしまいます。
株などの有価証券について
貸借対照表に計上されている有価証券は「取得原価主義」であることに注意してください。「取得原価主義」というのは要するに、買ったときの値段で表示するということです。 ですから、現在の市場価格とは全く異なっている場合も十分考えられるのです。
もし、買ったときの価格が100万円で現在の市場での価格が50万円だとすると、貸借対照表からはわかりませんが、50万円の含み損が生じていることになります。
なので、この含み損を流動資産に含めたまま貸借対照表を読むと、誤った判断をしてしまう可能性があります。
ちなみに、市場での価格が下落した場合に、会社の任意でそれを損失として処理する方法も認められています。 これを「低価法」というのですが、この処理を選択している場合には、決算書に注記がされているはずですので見てみるようにしましょう。
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