[要点整理] ・数値分析の前の基礎的な思考が大事です。 ・会社の社風や経営哲学、経営者の経営能力、会社の財産とその内容なども重要な指標になります。
数値分析の前の基礎的な思考とは?
書店に行って決算書の分析に関する書籍をみると、そのほとんどが決算書を数値化してそれらの比率についての解説をしています。 でも、ちょっと待ってください。それも大事ですけれど、数値による決算書分析以外にも決算書を分析する方法というのはあるのです。 次の指標がそのポイントになりますが、もしかしたら、そちらの方が企業の状況を判断する上では役に立つことが多いかもしれません。
1.会社の社風・経営哲学 2.経営者の経営能力 3.会社の財産とその内容
「決算書からそんなことがわかるの〜?」と思いませんでしたか? 実はこういったこともちゃんとわかるんですよ。
会社の社風・経営哲学は決算書のどこをみればいいのですか?
経営理念や哲学のない会社は一時的によくなることはあっても必ずいつか失敗します。 決算書には実に顕著にそういった経営理念があらわれているのです。
たとえば、貸借対照表ですが、個別の目的にあわせて適切に任意積立金が積み立てられているかを見てみてください。もし、そういった手当がなされている企業であれば、健全性や将来性に期待してよいでしょう。
また、株式などを保有している企業の場合、それが値下がりの激しいものでないかチェックしてみましょう。もし値下がりの激しい株式などを大量に保有しているような会社であれば、健全な営業というものに疑問符がつくことになるでしょう。 反対に、株などの代わりに国債などがあれば安定しているとみることができるでしょう。
損益計算書については、たとえば、減収減益の状況であるのにもかかわらず、労組の抵抗などで人件費が高止まりしている場合などは要注意です。こういった企業は、将来的にコスト削減を進めるのが難しい可能性が高いですから、業績を回復するのにかなりの時間がかかると判断することができます。
経営者の経営能力というのは、決算書のどこでみるのですか?
経営者の経営能力を判断するには、長期的な経営成績を評価する必要がありますので、過去数期の貸借対照表を比較してみましょう。
ここでは、剰余金が一番重要になります。貸借対照表右側の利益剰余金の増減を見てください。 ここが多くなっていれば経営者として優秀といえるでしょう。
この利益剰余金というのは、過去の利益の蓄積になりますので、役員の能力を判断する指標としてとてもわかりやすいのです。 もちろん、短期的な経営成績ということであれば、当期利益から読みとることもできます。
会社の財産とその内容は、決算書のどこで見るのですか?
数期間にわたって減益が続いている場合に、貸借対照表の右側の負債が増加していないかどうかなどを見てみましょう。もし増加していなければ、その会社は本質的に抵抗力の強い会社ということができます。
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